壮年の試合

壮年の試合

マスター世代の試合
壮年。その該当年齢層には様々な定義があるが、Wikipediaによると「現代では25歳から39歳まで、広くは35歳から64歳までの世代を指す」とある。
空手に限らずではあるが、多くの競技の試合で“壮年の部”や“マスター”という部門がある。
言わずもがな、ある程度の年齢に達した人が出る部門だ。
一般的に、年齢を重ねると筋肉が衰え、反射神経は鈍り、体の瞬発力も衰え、そして気力も衰えがちになる。
しかし多くの競技人は、壮年になってもその競技を楽しみ、試合にも出場する。
そしてその行為が心身の衰えを防ぎ、日々の生活の原動力になっている。

ある試合巧者
空手の試合にも壮年の部はあり、大会にもよるがおおよそ35歳以上が対象となる。
もちろん一般の部(若い人の部)の選手たちに比べれば派手な技やスピードの面は多少劣るかもしれないが、正面から打ち合う姿や気迫のこもった姿は一見に値する。
当道場の友好道場の方に、アラフィフながらガンガン試合に出場する方(Oさんとする)がいる。
Oさんのある試合。相手は体格に優る選手で、見た感じ体重差約20キロという試合。
開始早々、相手選手は体格を生かして重い突きを放ち、Oさんは後退。その後もOさんは手が出ない。
応援についていた私たちは『突きが効いたか…やはり分が悪い』と思った。
しかしOさんは左の突きを一突き。これが相手選手の胸にまともに入り、動きが鈍った。
ここからOさんは左の突きを主軸に相手を押し返し、ついには勝ってしまった。
試合後、Oさんに序盤で手が出なかったことを聞くと、「ちょっと遊んでました」と。
いや~感服。Oさんほど試合巧者になると試合中に遊ぶのか。

マスター世代の技術
私はブラジリアン柔術もやっているのだが、柔術の大会もマスター(壮年)カテゴリーがある。
おおよそ5歳区切りでマスター1、マスター2…というように分かれており、帯色や体重も細かく分かれているので、組み合わせは至って公平。
柔術でもやはり積極的に試合に出場するマスターたちがいる。
空手同様、若い人たちに比べれば派手さはないものの、無駄を省いた技術で相手を制し、着実にポイントを重ねるような試合をする。
時にはマスターの人がアダルトカテゴリー(若い人たちのカテゴリー)に挑戦し、その技術で勝利する事もあるが、その姿はなんともカッコいい。

壮年たちの美しい姿
空手でも柔術でも、マスター世代の人たちの試合にはある共通点があるように思う。
試合終了後の“笑顔”。
女性も男性もみなさん仕事を持ち、家庭を持っている人達。
そんな人たちが、格闘技のために時間を捻出し様々なコストとリスクをかけて試合に出場する。
そして、試合が終わったらお互いの時間・コスト・リスクを思いやり、笑顔で握手する。
その姿たるや、なんと美しいことか。尊敬。

<今日の道場生のひと言>
女子中学の道場生M「闘気塾日記が役に立つこともあるんですね~(中略)全部読み返しましたーヽ(´∀`)ノ」

いや…この日記は読んでもらうために書いてないので、改めてそう言われるとめっちゃ恥ずかしいんすけど(* ‘ω’)