スパーとライトスパー②

スパーとライトスパー②

前回に引き続き、「スパーとライトスパーはどう違う?」の質問に答えるコーナー、第2回。

意外に難しい
比較的強度が高くないライトスパー。
『軽いスパーって、力を抜いたスパーってことでしょ?楽勝やん』なんて思うことなかれ。実は、突き詰めるととても難しい。
私も子供達によく言っているのだが、“ライトスパー(軽い組手)だからといって、ダラダラとやるわけではない”。
スピードや持てる技術は高く保ったまま、当たる瞬間にだけ力を抜く。しかも、スパー中は当然相手も動いているので、動いている相手の位置に合わせて自分の身体をコントロールしなければならない。
なにより、ライトスパーはあくまでも“相手にとって軽く”でなければならない。つまり、相手の技量や気持ちを思いやって行う必要がある。

相手を思いやることも必要
この難しさはどの格闘技でも同じで、例えば打撃のないブラジリアン柔術のライトスパーは、相手の技をわざと受けて練習をしてもらいながら、今度は自分が適切な時にエスケープをして技をかけ返す、を繰り返す。
やはり相手の事を慮って自分も適切に動く必要がある。しかも、スパーの強度に偏りがあると練習にならないため、やりながら相手と強度を合わせていくことも求められる。
このように、ライトスパー(軽い組手)は簡単そうで難しい。なので、子供や初級者には意外に難易度が高い練習となる。
実際に当道場でも、初級の男性と組手稽古をしていた女性が、男性の蹴りを受けて脚を痛めたことがある。
もちろん、男性も技術レベルがまだ発展途上の中なので男性に非はなく、状況に合わせた練習を組めなかった私に非がある。とにもかくにも、ライトスパーは意外に技術が必要だし、相手の技量や気持ちを思いやることが必要なのだ。

質問に対する答えをまとめると、『スパーは格闘技に欠かせない対人練習だが、練習強度が高い。ライトスパーは、強度は高くないが意外に難しい。でもできるようになるとみんなで格闘技を楽しめる練習』という感じか。

結局は自分との闘い
当たり前だが、『難易度が高いから子供や初級者にはさせられない』とはならない。これも子供達によく言うが、“できないからこそ練習”。
当道場の子供達も練習のかいがあってか、最近ではライトスパーが上手にできるようになってきた。

練習した先には、技術が向上した自分、人を思いやることのできる自分、がいる。
対人稽古であっても、結局は自分とどう向き合うか。どう自分を成長させるか。
やはり、“武道とは自分との闘い”ですな。押忍