道場の風土醸成過程

道場の風土醸成過程

醸成という言葉。「少しずつ特定の雰囲気や考え方などを形成すること」という意味らしい。しかしなぜ「さけへん」である「醸」という字があるのか。
「醸」という漢字に”時間をかけて作る”という意味があるらしい。へ~。酒も麹から時間をかけて作りますからな。

道場によって違う風土
道場によって風土や雰囲気は結構違う。ガチガチな雰囲気で稽古している道場もあれば、比較的緩い感じで稽古している道場もある。礼儀作法に厳しい道場もあれば、道場生と指導者が友達のような道場もある。

闘気塾は、塾長・甲斐清貴氏が2001年に高千穂で創設し、2011年に西都支部、2019年に宮崎中央支部が設立された。2024年4月からは、甲斐清貴氏が会長、甲斐祐毅が塾長という体制をとっている。そして闘気塾は、「子供は楽しくのびのびと。大人は汗かき健康づくり」という稽古方針が示す通り、各道場和気あいあいとした雰囲気で空手を楽しんでいる。
しかし、この雰囲気づくりが簡単そうで意外に難しい。なぜかというと、和気あいあいとしながらもやる時はきちんとやらなければならないから。ただ「のびのびと」だけならそこまで難しくないと思うが、「のびのびと」しながら「やる時はやる」というのは、子供にとっては特に難しい。

西都支部の例
西都支部は、設立は2011年だが子供を迎え入れ始めたのは2015年。当初は保育園年長の子達ばかりで、まさに動物園状態だった。この保育園年長の時に闘気塾に入門した道場が2人残り、今では中学生となって黒帯として後輩たちを指導している。
そしてこの中学生2人が今の西都支部の風土を作ったと言っても過言はない。2人が小さい頃は手本となる先輩もおらず、なにせ指導者も礼儀作法などを教えるのが不得手。2人は試合や練習会などで他道場の生徒たちがやっている姿を見て、作法などを吸収していった。
また、2人は小さい頃から試合によく挑戦し続けており、当然、試合に向けての練習や試合本番を通して“勝つためには努力しなければならないこと”を学んでいった。
そうして“比較的フレンドリーながらも、試合が近くなれば試合に向けて頑張る”という雰囲気になった。
もちろん指導者目線でいえばまだまだなのだが、まぁ『道場の風土は道場生自身が造る』ということを目指していた私にとっては、“それもありか”という具合で受け入れている。

受け継ぐかまったく変わるか
今年はその中学生2人も3年生で受験生。練習になかなか来られない日が増えていくはず。
中学生2人は試合にも積極的に出て練習を頑張っていたのだが、今いる後輩たちはどんな雰囲気かというと…試合に出たり出なかったり、練習も来たり来なかったりと、比較的のんびりとやっている雰囲気。
中学生2人が造った風土を受けて育ったこの後輩たちが、今後どのような風土に変えていくか。
今からちょっと楽しみにしている。