礼に始まり礼を続ける

礼に始まり礼を続ける

礼を大事にする武道
「押忍」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
今では様々な武道で使われている言葉であるが、返事として使われることもあるし、挨拶として使われることもある。
意味としては『どんなことがあっても耐え忍ぶ』というような意味があるらしいが…今では、ある意味では使い勝手がいい言葉。
後輩は仕事中も何かあればすぐ「押忍、押忍」と言っている。武道をやっていない人に対しても「押忍」。
さすがに『それはやりすぎじゃね?』と思うが、めんどくさいのでほっといている。

空手は言わずと知れた日本の武道の一つ。武道は礼儀を非常に重んじる。
試合でも、大会によっては試合開始時と終了時の挨拶の仕方がなっていなければ注意を受けたりする。
練習においても、稽古場に入場するときや退場するときに挨拶をするし、その挨拶に対して他の人たちが挨拶で返す。
練習開始時と終了時も挨拶があるし、組手稽古で相手と対戦する度に「押忍」と言い、その一言に『お願いします』『ありがとうございました』の意味を込めて挨拶をする。
また、他武道である剣道は、試合でちょっとでも勝利を喜ぶような動作をしたら、その勝利は即座に取り消されるそうだ。
一緒に稽古する仲間や自分を支えてくれる家族、そして稽古場、稽古で使用する道具、それら全てに敬意を持ち感謝する。
試合は対戦相手がいるからこそ成り立つし、お互い全力を尽くして懸命に技を出し合うからこそ”いい試合”となる。そこに敬意と感謝が生まれる。

敬意と感謝に基づく武道
というような事を、大人はなんとなく理解できるが、子供にこれを理解してもらうのはなかなか至難。
私の格闘技の先生の一人は、子供達に分かりやすいように”武道における挨拶”を次のように説明した。

「もし、挨拶もなしにスパー(対戦練習)を行えば、相手に不快感を与えてしまい、スパーがエスカレートして危険なものになりかねない。スパー前に挨拶をするからこそ、少しでも互いのことを分かり合い、それで互いに安心して楽しくスパーができるんだ」と。

組手をして技有りを取られたら、素直に相手の技術を認めて敬意を持つのが大事。
そしてその技術を学ばせてもらう謙虚さと、学んだあとに感謝の心を持つのが大事。

武道は決して”潰し合い”ではない。
挨拶や礼儀でしっかりと互いに理解を深め、敬意と感謝を持つからこそ武道が楽しめるのだろう。
これからも挨拶から頑張って練習しよう。

押忍。