楽しさを知るには時間がかかる
私は主に空手とブラジリアン柔術をやっている。また、キックボクシングやMMAもかじっている(ほんのちょっと)。
いずれの格闘技も多くの人を魅了している。日常では味わえない緊張感、切磋琢磨する仲間、成長する自分に感じる喜び、心身に与える良い影響、壁を乗り越えた時の達成感。どれもが格闘技の良い面として多くの人を魅了している。
一方で、格闘技を始めて間もない人が早々に辞めてしまうことがある。これはなぜだろうか。
結論から言えば、“他人と戦う”という格闘技の性質上、心理的負担が大きいという点。そして、個人競技であるため、勝敗はもちろん、技術向上の速度や諸々すべてが自分一人に依拠しているという点。さらに、その格闘技が複雑であればあるほど、覚えることや鍛錬すべきことが多いという点。これらが相混ざって、始めて間もない人の心理的負担になり、結果、早々に辞めてしまったり練習から足が遠のいてしまったりするのではないかと思う(私見です)。
要は、格闘技の楽しさを知るには時間がかかるため、それを知る前に心理的負担により辞めてしまうという状態だ。
時間がかかる理由
“他人と戦う”という心理的負担
格闘技や武道は基本的に一対一。試合はもちろん、練習も対人稽古は一対一で行う。基本稽古などは一人(もちろん周りの人と一緒にやるが)。チームプレーで何かするということはない。常に一人で誰かと相対して技や強さを競ったり勝敗を競ったりする。そして何より、自分より強い人なんていくらでもいる。
このストレスやプレッシャーを一人で背負うことに慣れるのには多少時間がかかる。
技術向上のプロセスが自分一人
先述の通り、格闘技は全て自分一人で行う。それは技術向上のプロセスも同じで、技の練習を他人に受けてもらったりアドバイスをもらったりなどはあるものの、その技研究の過程は一人で行う。一人で動画を観て研究したり、自分の対人稽古の様子を動画で撮影して改善点を探したり、試合の反省をしたり。
そしてここが最も大きいのだが、技術の向上プロセスが自分一人に依拠しているがために、周りの人に先を越されたり負けたりすることが往々にしてある。
その時の落胆を一人で背負うにはなかなか荷が重いので、この落胆に慣れるのに時間がかかる。いや、慣れないのだが、“そういうこともある”、“追いつけるようにがんばろう”という心理になるのに時間がかかる。
格闘技は複雑だし鍛錬に時間がかかる
格闘技は意外に複雑。特にブラジリアン柔術はやること・覚えることが多すぎる。体の動かし方や技術が多い上に、現在進行形で急速に発展・進化し続けている格闘技なので新しい技術もどんどん出てくる。私はブラジリアン柔術を始めて10年目だが、未だにできないことがめっちゃある。黒帯の方々を10としたら、私などはまだ5もできていないのではないか。
空手などの打撃系格闘技も、パンチ力・キック力を鍛えるためには地味な練習やトレーニングをひたすら続ける必要があり、それにもやはり時間がかかる。
時間はかかるかもだけど
格闘技には、以上のような時間がかかる要素がある。そしてこれらに時間がかかっている間に、心理的負担に耐えられず辞めてしまうのだと思う。
だから私は、新しく入った人には「格闘技の楽しさを知るには少し時間がかかります」とあえて説明する。そしてその説明にはこう付け加える。
「でも、一度楽しさを知ったら人生が変わりますよ」と。
新しく格闘技を始めた人には、ぜひ最初のうちはがんばって道場に通い続けてほしい。もし、くじけそうになったら、臆せず先生や先輩に話してみて今までの経験などを聞いてみよう。親身になって聞き、話してくれますよ。
そうして乗り越えた先にある格闘技の楽しさは、必ず人生を変えてくれるはず。

