指導員ターヒラの挑戦②

指導員ターヒラの挑戦②

闘気塾西都の指導員ターヒラ。二段の昇段審査を受けるため、一年間かけて減量。目標体重は70kg。最初は順調に体重が落ちたものの、75キロで下げ止まりが…。

乗り越えられるか停滞期
私は、ターヒラが減量を始めて間もない頃に「必ず下げ止まる時が来る。その時には食事内容や減量方法を見直してやり方を変えるといい」と伝えていた。ターヒラはそれを思い出して私に助言を求め、その内容を参考にして食事内容を見直し、運動量を増やすことにした。その結果、長い停滞期間を経て体重がまた落ち始めた。

そうこうしているうちに、昇段審査の日程が2025年2月15日に決まった。そして、ターヒラが条件クリアを証明する日、つまり、体重を計測する日が2月13日に決した。しかも、道場のみんなの前で計測するという、いわば“公開計量”の体で行うことにした。
ターヒラを心配した道場の仲間の一人が私に、「ちょっとのオーバーも許されないんですか?審査受けられないんですか?」と問う。私は「ちょっとのオーバーもダメ。その時点で審査は受けられない」と答える。
『みんなの前で失敗は出来ない』と焦るターヒラをよそに、私は内心ニヤニヤしていた。減量には少しの油断も少しの甘さも許されない。そしてそれを乗り越えてこその武道だから。

計測の結果は…
公開計量の10日前で体重は72キロ。焦るターヒラは空手にジョギングにと、ほぼ毎日運動をした。体重が重かった時はジョギングをすると膝が痛くなり、長距離を走ることができなかったが、体重が落ちてからはそれもなくなったことで距離をこなしやすくなった。
明らかに細っていくターヒラの体に周りも驚く。受験勉強のために一か月ほど道場に来ていなかった女子中学生のモカは、久しぶりにターヒラを見て「え?!誰?!」と驚き、ターヒラの勤め先の社長も、ターヒラが所在する事業所に来て「おま…痩せたなぁ…」という反応。

そしていよいよ2月13日、公開計量の日。不安のあるターヒラは昼休みに9kmのジョギングを敢行。練習でも体を動かし、可能な限り汗を出す。
練習後、体育館のステージに上がり、体重計を前にする。道場の仲間たちが固唾を飲んで見守る中、計測。
結果は、69.8キロで見事条件クリア。両手でガッツポーズをとるターヒラと、歓声と拍手を挙げる仲間たち。
そして本来の目的である二段への昇段審査も、公開計量の翌々日に受審。ヘロヘロになりながらも見事にやりきり、無事に昇段が決まった。
ターヒラには少し厳しい眼で見る私も、今回は「よくやった」と言葉をかけた。

ターヒラの人生が変わる⁈
公開計量のあと、体重が70キロを下回ったのはいつぶりかを問うと、「約18年ぶり」とのこと。18年前は重労働の仕事をしていたため、多少食べても太ることはなかったが、機械制御の仕事になってからは激しく動くことがなくなった。本当はそれに合わせて食事量も減らさなければならないが、若いターヒラは構わず欲望のまま食べていた。結果、体重が最大93キロという体になった。
健康診断では腹囲101センチで“メタボ予備軍”を言い渡され、周囲からは”101匹わんちゃん”などと茶化される。しかも酒も飲まないのに“肝脂肪”と診断される。恋をしてもほぼ成就しないし、成就したかに見えてもすぐにフラレる。『いつか痩せなければ』。そんな焦りがターヒラにはあった。

しかし、ターヒラは今回の減量が成功したことで、そんな自分とも決別するだろう。今回の減量成功はターヒラに自信と健康をもたらし、人生を前向きにさせてくれるだろう。実際、計量の一か月後に行われた健康診断では、あらゆる数値が改善していた。
私がそうだったように、減量の成功によってターヒラの今後の人生は様々な面で好転する可能性がある。これからもきちんと体重と健康を維持して、豊かな人生としてくれればと願う。

ただし、恋のことは…何も言えません。そこは自分でがんばれターヒラ。

公開計量で目標体重をクリアしたターヒラ