ある電話
少し前の話だが、私の携帯に見知らぬ番号から一本の電話がかかってきた。登録していない番号からの電話は、見学の申し込みなど空手関係が多い。かかってきた電話も見学の申し込みであったのだが、いつもと様子が違った。
聞くと、兄妹のお母さんで、妹ちゃんを見学に連れていきたいとのこと。ただ、お兄ちゃんは現在別の道場に通っているようだった。ん?妹ちゃんも空手を始めるならお兄ちゃんと一緒のところがいいのでは?そう聞くと、何やら事情があるらしい。
通っている道場では、お兄ちゃんの動きに違和感があってもなかなか技術的なことを教えてもらえなかったり、道場生に対する愛があまり感じられなかったりするとのことだった。その他にもいろいろあるらしく、結局その電話は長時間に及び、そして最終的には「内内に闘気塾に移籍することはできますか?」との質問を受けた。
その質問に対しては、「まだ空手を始めていない妹ちゃんが入るのは可能かもしれませんが、お兄ちゃんの移籍は難しいと思います」と返答した。なにせ通っている道場は私も知っている道場で、先生とも交流がある。指導者の許可をもらわない限り、おいそれとは受け入れられない。
縁頼みで入会すると現れる難しさ
おそらくだが、お兄ちゃんがその道場に入る前は親御さんと一緒に見学し、その上で入会したのだと思う。しかし、どこかで齟齬をきたし、今回の電話内容のようなことになったのだと思う。
なぜこのようなことが起きるのだろうか。
一つは“繋がり”が邪魔している可能性がある。例えば、家族が指導者のことを以前から知っていて、その縁で入会させたものの、思っていたのと違うというパターン。または、友達が空手を習っている縁でそこに入会させたものの、思っていたのと違うというパターン。こういったパターンは、移籍はおろか辞めることも難しいのではないかと思う。実際、電話で話したお母さんは通っている道場ともともと繋がりがあるようだった。
道場を選ぶ際のチェックポイント
こういったことから考えると、最初の見学、そして道場選びというのはとても大事であり難しい。
ということで、道場選びのチェックポイントをまとめてみた。※私見です
- “なぜその競技をさせるのか”の確認(競技や武道によって特色があるため)
- “その競技を通して子供にどう成長してほしいか”の確認
- 道場のHPやSNSなどで稽古場所・日時・方針・雰囲気などの情報をできる限り収集する
- 見学時にはレッスンの進め方や指導者の子供たちに対する接し方などを見ておく
- レッスン中や休憩中、レッスン開始前後の子供たちの様子も見ておく
- 実際に指導者と話をし、人柄などを感じ取る
細かいことを言えばまだあるが、おおよそ以上になるかと思う。これらをチェックした結果、“何か違う”と感じたならば繋がりや縁があったとしても入会をしない判断が必要。なぜなら、一度入会してしまうと移籍や退会は難しいから。これはいろいろな習い事すべてに共通して言えることだろう。
習い事は子供たちの成長に大きく寄与するもの。できればその子に合った教室・道場を選んで、子供がその競技・武道を楽しみ、大きく成長につなげてもらいたい。
