最後の涙①

最後の涙①

自分に厳しい女子中学生
2024年11月26日、闘気塾西都の練習日。組手稽古終了後に涙を流す女子中学生の姿があった。この闘気塾日記にも度々話題にのぼる(ほぼ主役に近い)Mだ。涙を流すMに指導員が声をかけて涙の理由を尋ねると、「思うような動きができない」とM。
保育園年長から空手をやってきたMの涙は今まで幾度も見てきたが、涙の理由は大体、“どうしても勝ちたかった試合で敗北した”とか、今回のように“自分が目指す動きができなかった”ということが多い。空手も勉強も学校生活も妥協することがないMは、常に自分に目標を課し、常に自分に厳しい。厳しいがゆえに、それが思うに任せない結果となった時、悔しさが涙という形で溢れ出てくるのだ。

悔しかった前回大会
昨年2023年12月17日、Mは大阪にいた。全国大会に出場するためだ。その時の試合の様子は過去記事を参照いただきたいが、結果は、“マットが滑る”という、蹴りが得意なMにとっての不運があり、実力を出し切れずに敗北した。この大会に臨む前も全力で練習していたため、敗北した時は涙を流した。
しかし、さすが百戦錬磨のM。翌年2024年12月に行われる予定の同大会に照準を合わせ、すぐにリベンジに向けて動き出した。同大会の地区予選となる2024年3月の熊本大会に出場。“滑るマット対策”として、突き主体のスタイルを模索しながら臨み、強い相手たちとの際どい死闘を繰り広げた末に優勝。早速、次の全国大会出場への切符を手に入れた。

徐々に練習の成果が現れる
3月の大会の少し前から始まった“コンペティションクラス(試合用の練習)”にも、時間が許す限り参加。キツい稽古を重ねて、突きの強化や相手に押されないための下半身強化、そして体力面の強化にも取り組んだ。
2024年5月の大会は3試合。対戦相手たちはことごとくMよりも大きい相手。大きい相手との対戦は不利であるだけでなく、勝っても1試合こなすだけで体力を奪われるため、私は後半押されてしまうことを危惧した。しかし、私の危惧をよそにMは見事に一本勝ちと大きい相手を下がらせての優勢勝ちで決勝へ。決勝では、わずかな隙をついた相手の上段回し蹴りをもらってしまい敗北したものの、内容は、大きい相手を下がらせて終始優勢であった。私はコンペティションクラスでの下半身強化の成果がすでに出ていること実感した。

2024年夏頃からは、接近戦に備えてあらたな技の習得に取り組んだ。あまりに殺傷能力が高い技であるため、ここに詳細を書くことは控えるが、練習相手をする私を含む男性陣はことごとく悶絶の憂き目にあった。他にも走り込み・坂道ダッシュを行うなど、自主練もこなした。
Mはそのようにして、ほぼ一年間をかけて2024年12月の全国大会のために準備をしてきたのだ。
しかし、週末に全国大会を控えた週には風邪をひき、体調が万全とは言い難い状態。

そんな中、今日2024年12月22日、Mは全国大会当日を迎えた。

~次週に続く~