日本の武道:柔道編

日本の武道:柔道編

始まりました、日本の武道シリーズ。世界中の闘気塾日記ファンの方々から「日本の武道を紹介してほしい」という声が多く寄せられた(※)ことにより、始まったこのシリーズ。
(※大うそです。だれもそんなこと言っていません。本当は、あまりに記事ネタがないために本の力を借りようとしているだけです)

第一回は柔道。
柔道と言えば、オリンピック種目にもなっている日本の代表的な国技。そして、今右肩上がりで競技者数が増えているブラジリアン柔術の基になっている武道。そんな柔道を、本に書かれている内容や私の印象などを交えて紹介。
なお、当記事で引用している本は日本武道館が編集した「日本の武道」です。

柔道の基となった柔術
柔道の起源となっているのは、室町時代に生まれた柔術。柔術としては、捕縛の術を中心として体系化された竹内流が最も古く、その術は「腰廻り(または腰之廻)」と言われていたそう。江戸時代には、関口流など数多くの柔術の流派が生まれ、戦闘術から心身鍛錬のためのものへと変化していった。そして明治以降、学校教育でも柔術や剣術などを行うところが出てきた。
ちなみに私個人は、合戦での戦闘(組討)のための鍛錬として昔の柔術が発祥したのかと思っていたのだが、そちらはどうも相撲らしい。古くから戦闘(組討)の鍛錬として相撲を行っていたということ。そちらはまた別の稿で。
とはいえ、柔術も戦闘術であったのは間違いない。

柔道の発展
柔道の創始者は著名な嘉納治五郎翁。翁は1860年に生まれ、天神真楊流、起倒流を学び、明治15年、講道館柔道を設立。「体育」「勝負」「修心」を目的としていたとのこと。
嘉納翁は1938年に亡くなるも柔道は発展する。1945年、戦争の余波から武道が禁止され、柔道や剣道は学校教育から一時姿を消したものの、関係者の努力により1950年には復活。1964年の東京五輪で正式種目に採用されるなど、現在に至るまで世界中で発展を続けている。
2012年時点で国際柔道連盟の加盟国・地域は201カ国。日本国内の全日本柔道連盟の登録者数は20万を上回る(あくまでも登録者数であり、競技者数はもっといるとのこと)。しかし、少子化に伴い、競技者数も減少傾向にあるようだ。

柔道といえば、少し前、子供の全日本大会をやめる判断をして話題になった。いき過ぎた勝利至上主義を問題視しての判断であり、私個人は英断だと思っている。私もいき過ぎた勝利至上主義は好まない。しかし一方で、勝利至上主義の中で揉まれながら育った選手たちが、今夏のパリ五輪のように活躍し続けているのも事実(その中で挫折した競技者もたくさんいるだろうが)。柔道界全体がいき過ぎた勝利至上主義を忌避する現代で育ちながらも、世界で活躍する選手が将来出てくるのか今後も注目したい。

傷害発生率
少し前の記事に書いたが、柔道の傷害発生率は6位。割と怪我の多い競技となっている。
私はブラジリアン柔術もやっているのだが、柔術の仲間には柔道出身の人もいて、当然一緒に練習している。柔道出身の人の印象だが、結構力を使って急に激しい動きをする人が多いという印象。表現が難しいので擬音語で伝えると『ガンッ!』『ドンッ!』という感じ。なるほど、怪我が多いのも頷ける(あ、柔道にケチをつけているわけではありません。私は柔道が割と好きです)。
そして何と言っても、学校での事故が怖い。中学校で武道が必修化され、柔道が学習されている。しかし、部活動での事故を含めると、今でも年に10数件は傷害が発生しているようだ(全柔連の事故速報から)。その10数件のうち、死亡・重大・準重大事故もある。関係各所では、事故防止に向けて様々な改善活動を行っているようだが、さらなる事故防止策が必要という印象だ。

日本が世界に誇る国技・柔道。戦闘術だったものが武道として発展した、歴史ある柔道。事故防止を図り続け、これからも柔道が日本の武道の一つとして発展し続けていくのを願ってやまない。