ライバルがいる効果・ディフェンス力
以前の投稿で、試合に強くなるパターンがいくつかあることを紹介し、その中に“道場内にライバルがいること”というのを挙げた。
道場内にライバルがいると、それだけで切磋琢磨できるため、組手が強くなり結果的に試合にも強くなる。もう少し具体的に“どういったところが強くなるか”を挙げると、それはディフェンス力。
道場内にライバルがいない場合でも、オフェンス力、つまり攻撃力はある程度向上させることができる。指導者や先輩たち、保護者がミットを持ったり体で攻撃を受けたりする方法でオフェンス力を上げることができる。
しかし、ライバルがいない場合、ディフェンス力を上げることはなかなか難しい。なぜなら、指導者や先輩たち、保護者がいくら組手の相手をしても指導者らが本気で相手をすることはないし、そもそも体格が違うので同世代の選手との対戦を想定した練習にはなり得ない。
攻撃力の高いある道場生
当道場に小学3年生男子の道場生がいる。その道場生は、小さい体ながら優れた運動能力と柔軟性で高い攻撃力を持つ。お父さんも一緒に空手をやっているが、お父さんと組手をしているときに、よくお父さんが悶絶する姿が見られる。それほど攻撃力が高い道場生。
攻撃力が高すぎるがゆえに、道場内の仲間から“本気の組手を拒否される”状態。つまり、ライバルがいない状態。
そんな道場生が試合に出るとどうなるかというと、相手のなんでもない上段回し蹴りをもらって敗北することがよくある(メンタルの問題もあるのだが)。やはりディフェンス力は同い年くらいの練習相手がいた方が向上するのだ。
こういった意味でも、道場内にライバルがいるというのは試合に出る選手にとって幸せな状態だろう。
ライバルがいる効果・続ける理由
ライバルがいる効果はもう一つある。それは“続ける理由”。
私もブラジリアン柔術では習う側であり、道場内の人達と切磋琢磨している。紫帯という過分な帯をいただいているが、それがゆえに帯下の人達とスパーをする際は『そう簡単にはやられないぞ』という心理が働く。
しかし帯下の人達の突き上げも激しい。どうなるかというと、追いつかれないように『できる限り練習に行く・続ける』ということになる。
もちろん年齢も年齢なので無理は出来な…無理はしているが、体は動いているので続けている。帯下の人達をライバルと呼べるか否かは別として、切磋琢磨する仲間がいるというのは、競技を楽しむ者にとって刺激になり、そして続ける理由になることは間違いない。
それでも難しい
このように道場内のライバルという存在は、技術的にも心理的にも良い効果がある。しかし実際には、そもそも道場に在籍する人数が少ない当道場のような小さな町道場では、ライバルを作ることは難しい。
そのため指導者は、積極的に試合に出たい選手のために周りの道場を巻き込むなどして、練習会などの機会を作ろうとしている。
それもなかなかままならないのが悩ましいところなのだが…。