争わない方が無難ではあるが…
現在、闘気塾には大人の女性道場生が4名ほど在籍している。
少し前、ある大人の女性道場生が男性道場生と組手稽古していて、当たり所が悪かったのか、胸部を痛めたことがあった。
その女性は悔しがり、「やっぱり男の人には勝てないのか…」とつぶやいていた。
いやいや、そこ張り合ったらダメ。
世の中には男性以上に力のある女性はいるし、プロの女性格闘家はその辺の男性より絶対強い。
しかし一般人の女性は、基本的に男性には腕力的に勝てないだろう。これは生物的にどうしようもない。
なので、当たり前だが、腕力や体力面で女性は男性と争わない方が無難。
では、もし自分の身を守るために男性と体のぶつかり合いになった場合、女性は為す術がないのだろうか。
空手とブラジリアン柔術を学ぶ私が、双方から女性にとって有効な護身術となる技を考察する。ここでいう女性というのは、あくまでも大人の女性をいう。
また、“有効な護身術”とは、少し訓練すればだれでも習得できそうな護身術をいう。
使える技とは
シチュエーションとしては、例えば暴漢に襲われそうになった時。
空手で護身術的に有効な技といえば、前蹴りを真っ先に挙げたい。暴漢が今にも襲わんとして近づいてきた場合、顔面または胸部に向けて前蹴りは有効。
以前、一緒に空手をやっていた女性は、夜の街でおじさんが近づいてきた際、前蹴りの形でストッピングして防いだらしい(前蹴りをしたというわけではなく、足の裏で前進を止めて距離を取った形)。
しかし腹部への蹴りは、女性の力ではなかなか男の体重を跳ね返すのは難しいと思うが、顔面や胸部、頸部であれば下がらせることができるかと思う。
暴漢の前進が止まらない場合は金的蹴りも有効。しかし、これは当たれば間違いなく有効であるが、相手も動いているので当てるのがやや難しい。
それでも近づかれ、暴漢が手を伸ばして掴んでこようとした場合、訓練をすれば手を払うことはできるかと思う。
また、掴まれてしまった場合も、重心を落として簡単に投げられたり倒されたりすることがないように対処することもできるかと思う。
それでも倒されてしまった場合。
柔術には“柔術立ち”や“肩抜き後転”という素早く立ち上がる方法があり、それであれば訓練すれば比較的誰でもすぐに習得可能であり、護身術として活用できるかと思う。
もし立ち上がるのが間に合わず、暴漢が上から襲い掛かってこようとした場合。
柔術では自分と相手との間に脚を置いて、相手の接近を防ぐ・相手を足でコントロールする方法があり、これも訓練次第ではできるようになるのではと思う。
そして相手を足で押すなどして距離を取ったところで、上記の方法で素早く立ち上がり逃げる。
または、柔術の“草刈りスウィープ”で足を引っ掛けて暴漢をひっくり返し、その隙に逃げる、という感じ。
大前提を忘れずに
と、大した空手家・柔術家でもない私が、いっちょまえに空手と柔術から女性が護身で使える技を考えてみた。
もちろん、これらはいきなりできるようなものではなく、訓練が必要。そして、闘気塾でもたまにこういった訓練をしているが、体が反射的に実践できるようになるにはその訓練を継続することが大切。
言わずもがな、護身術が必要になるような危険なところは避ける、危険が近づいたら迷わず逃げる、これが大前提。
君子、危うきに近寄らず。