悩みを持つ少年たち
先日の練習で、ある道場生の血縁の中学生R君が体験に来た。
R君は不登校状態にあるという。友達には会いたいと語ったが、何らかの理由で学校に行けない状態。
体を動かす楽しみを味わってもらいたいと、体験では精一杯動いてもらった。
その結果、練習後には「楽しかった。絶対また行く」と語ってくれた。
以前の投稿でも書いたが、闘気塾西都道場には過去に不登校気味だった道場生がいる。現在23歳で、大学を卒業して地元に戻り、最近公的機関に勤め始め、道場にも戻ってきてくれた。
その道場生も中学生の時に人間関係に悩み不登校気味になったが、空手に出会い、練習に励んだ。
試合などには興味がなかったようだが、持ち前の真面目さで茶帯まで取得。大学でしばらく離れていたが、最近復帰したので、私はいずれ黒帯まで取得してほしいと思っている。
空手の効果・効能
悩みを持ったり前向きになれない状態にあったりする子にとって、空手の何がいいのか。空手の何が前向きにさせてくれるのか。
仮説であるが、ある二つの“時間”が関係していると思っている。その二つとは“ツラいことに向き合う時間”と“無になって汗をかく時間”。
度々触れているが、空手は立ち方の一つ一つがツラい。また、基本稽古が苦手な人や型が苦手な人、組手が苦手な人、人それぞれ苦手なものがあるが、みな一様にそれらを習得することが求められる。
どんなに苦手でもそれに向き合って習得する時間が必要。そして努力して修得した結果、級や帯が上がったり試合でいい結果に繋がったりして、自分の自信になる。
また、型練習にしてもミット打ちにしても、はたまた組手にしても、非常に無になって稽古する。気付いたら汗まみれ。
この『何も考えずに、ただひたすらに汗をかく』という時間が嫌なことを忘れさせてくれる。
これらの時間を過ごすうちに、道場が居場所になり、いつの間にか前向きな自分を取り戻すようになっているのではないかと考える。
前向きな自分を取り戻す手助けをする
先述のR君、やっぱり行きにくいのか一歩が踏み出せないのか、まだ来ていない。しかし、気長に待とうと思う。
何らかの理由で今は前向きになれない状態の子でも、空手に出会って練習に励み、道場が居場所になり、そして前向きな自分を取り戻していく。
指導者はその居場所を作り、道場生が前向きな自分を取り戻す過程の手伝いをする。
私は、これからの空手がそういう形であってほしいと願っているし、それが私のライフワークの一つになるだろうと思っている。