意外に難しいある組手

意外に難しいある組手

おじさん道場生の悩み
現在緑帯のおじさん道場生がこのようなことを言った。
「“スピードは速いままで力は軽い組手”ができないです」
たしかにそのおじさん道場生はできていない。見ると組手の時ずっと力が入りまくっている。
結果、極端にゆっくりした組手かずっと力を込めた組手しかできない。

この“スピードは速いままで力は軽い組手”は、おそらく打撃系格闘技ではよく使われると思う。
フルコンタクト空手で言えば、組手練習会や指導者同士の組手でよく使う。なので、割と必須の組手。
そのおじさん道場生には、ゆくゆくは黒帯を巻いて欲しいし、指導員となって欲しい。ゆえに、この必須の技術を身に付けてもらわねばならない。

この“スピードは速いままで力は軽い組手”、実は結構難しい。なぜなら、動きの中で自分の体を“適切に”コントロールしなければならないから。
止まっている標的に対して軽く打ち込むのはさほど難しくない。しかし、組手は相手も自分も動く。
一瞬に動きの中で相手の位置に合わせて、瞬時に自分の体をコントロールして打たなければならない。これが難しい。

いざ特訓
ということで、おじさん道場生にもこの“スピードは速いままで力は軽い組手”ができるようになってもらおう。
訓練法として説明したことは、まず基本稽古。
基本稽古は地味で結構敬遠されがちだが、実は自分の体をコントロールする練習にはもってこいの練習。
気を付けるポイントは、ただ漫然とやるのではなくスピードと狙う位置を意識すること。
速いスピードで突きや蹴りを狙った位置で打てるようにする。この技術が基礎となる。まさに基本稽古。

そして実践。
おじさん道場生とは、練習前に“スピードは速いままで力は軽い組手”の特別練習を行うことにした。
最初は半分くらいのスピードから。この時点でおじさん道場生はちょっと苦労している。

付いてきた技術
これらの練習を重ねて約二か月が経過した現在、どうなったかと言うと…。
結構、様になってきている。まだまだ力が入っているのでたまに強く当ててしまうことはあるが、だいぶできるようにはなってきた。
この調子なら黒帯になるまでには間に合うか。もう少し続けましょう。

相手のことを考えて自分をコントロールする。武道は色々なことに通じますな。
技術も人格も黒帯を目指して。押忍。