一緒に空手を始めた2人
闘気塾西都道場の中学生男女コンビ、ダイキとモカ。2人は保育園からの幼馴染である。
同じ保育園に通い、年長の頃に闘気塾で空手を始めて現在まで続けている。
2人が空手を始めた頃は、同時に入塾した子供が他に8人ほどいたが、コロナの影響など様々な理由で辞めていき、残ったのは2人だけ。
幼馴染であるが、2人の性格はまったく違う。
ダイキは口下手で不器用。小さい頃はちょっと泣き虫ながら、空手のこととなると涙を流しながらでも諦めず継続する。
モカは天真爛漫な性格で口達者。器用で頭もよく、何を教えてもすぐにできてしまう。
そんな2人の違いは空手にも表れている。
ダイキはどちらかというと型が好きで、小さい頃から居残りを志願して型を練習していた。その努力もあって、型の試合ではたくさん入賞してきた。
モカは型よりも組手が得意で、持ち前の負けん気を武器に小学2年生頃から、出場する県内の大会のほとんどで優勝し、ちょっと知られた存在。
型ではダイキに軍配が上がり組手ではモカが抜きん出る、というライバル関係である。
しかし型でも組手でも互いに切磋琢磨し、励まし合ったかけがえのない仲間でもある。
久しぶりの試合
そんな2人が7月9日の組手の大会に出場した。
モカは久しぶりの試合に加えて右足捻挫により万全とは言えない状態で、会場入りした時から著しく緊張。「自信がない」「おなかが痛い」などと言い続けていた。
ダイキは割とリラックスしていたが、前回の試合から組手スタイルの再構築を図って練習してきて、その成果が試される試合。
モカの一回戦から始まる。緊張もあってか開始直後は動きが悪い。
しかし、一度前蹴りで技有りを奪ってからは動きが戻り、結局、三つの技有りを取って勝利。
ダイキはワンマッチ決勝となった。
開始直後は気負いもあってか、上段ばかり狙いすぎて相手にガードされていたが、組手スタイル再構築で練習してきた下段を打ち始めるとこれが見事に決まり、相手を下がらせ、そして見事に一本勝ち。優勝。
モカの決勝戦。
相手は強い突きで前に出てくる。モカは突きからの蹴りで応戦するも、途中、怪我していた足をさらに痛めて蹴りが打てなくなる。
『突きで攻めるしかない』
そう腹をくくり、気合いのパンチラッシュ。判定勝ちをおさめ、優勝が決定。
マットから退場する際、歩くことができず倒れるモカ。セコンドについていたダイキがすぐに駆け寄り、体を支えてなんとか2人で退場する姿が印象的であった。
夢叶う
記念撮影時、2人で表彰台に上がり、2人で一番高い“1”に立つ。
多くの友達と空手を始め、残った2人。良き仲間、良きライバルとして、時には共に涙を流し、時にはケンカをしながら切磋琢磨してきた2人。最近では黒帯として後輩を指導する立場の2人。
多くの経験を共に重ね、成長してきた2人。
その2人が表彰台の一番高いところに並んで立つ。ありそうでなかった光景。
ダイキの親御さんの「2人が一緒に表彰台に上がることが夢だった」という言葉がピタリと当てはまる光景。
現在、中学2年生。もうすぐ勉学に集中する時期が来る。
中学を卒業すれば遠くの高校に通うことになるかもしれない。そうなると道場からは卒業するだろう。
“共に汗と涙を流して、一緒に表彰台に上がった仲間がいる”
道場を卒業しても大人になっても、この事実を覚えておいてほしいと指導者は願う。
<今日の道場生の一言>
高い金をかけて刺繍を入れた私の道着を見た、女子中学の道場生のひと言
「袖はいいけど…お尻の刺繍はダサいです( ´Д` )」
このおしゃれが分からんかなーーー(#゚Д゚)