多○化する練習

多○化する練習

昨今の教育風景
先日、子供2人の母親である義妹が帰省していたため、妻の実家で会食をした。
大阪に住む義妹家族であるが、上の子は小学低学年。最近の運動会では順位をつけないという。
いつぞやの報道で、どこかの学校では徒競走で“一斉にスタートして一斉にゴールする”というやり方をしているのを見て驚いたものだが、今は色々な学校でそういった取り組みなのか。
宮崎ではまだ順位があるらしいが、なくなる日も近いかもしれない。
ちなみに、義妹の子が通う学校の子供たちは、そういった教育方針が反映されてか、優しい子が多いのだという。
徒競走で自分が速くてもあまり喜ばず、「○○君も速かった」という具合に自分よりも周りの子達に目を向けるとのこと。いや~教育の賜物とはすごい。
他方、昨年、小学生の柔道の全国大会が廃止された。行き過ぎた勝利至上主義が問題視されての措置らしいが、その代わりに柔道を楽しむイベントを開催したという。
空手の大会などでも、勝てない子供を激しく叱責する保護者や指導者を見かける事があるが、これはたしかに問題。
そういったことを良しとしない姿勢を明確にした全日本柔道連盟の決断は、大いに感服するところ。

当道場では?
一応、私も武道の指導者であるが、最近実感することがある。競技に対する子供たちの考え方や取り組み方が多様化している。
当道場はフルコンタクト空手の道場であるが、実際に突きや蹴りを当て合う組手練習を嫌がる子が多くなっている。そして、保護者もそれを尊重して組手を無理にさせることはない。
ひと昔前であれば、「空手は戦ってなんぼだ」とか、「痛くてもキツくても頑張れ」とハッパをかけていた。
それが今は様変わりしているのだ。
それに対して私はどう考えているかというと、“大いに結構”。
人には得手不得手があるし、気が優しい子に無理やり組手をさせても何の成長にもならないと考えている。

工夫と改善
しかし、組手をする子としない子が同じ空間にいることになるので、練習内容には工夫がいる。
当道場で現在取り組んでいるのは、組手をしない子は“軽い力での組手”や“当たらない距離での組手”を試している。
今のところ、この練習であれば組手が苦手な子でも積極的にやっているので、これからも改善しながら、どんな子でも楽しみながら成長できる練習にしていきたいと考えている。
一つ難点は、練習方法が多様化すると、その分指導者の目と口と頭が忙しくなるところ。
いや~私の鈍重な頭じゃ追い付かなくなるかもしれない…。